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プロデューサーセッション -WE DISCUSS VANA’DIEL-
第9回 松田洋祐 パート4

松井プロデューサーが、『ファイナルファンタジーXI』(以下、『FFXI』)とゆかりのある人物と対談を行うスペシャル企画“プロデューサーセッション -WE DISCUSS VANA’DIEL-”。第9回の対談相手は、スクウェア・エニックス 代表取締役社長の松田洋祐さん。最終回となるパート4では、20年という運営期間と『FFXI』の今後について語っていただいた。

松田洋祐

スクウェア・エニックス 代表取締役社長。公認会計士としてのキャリアを持ち、1998年にスクウェア(当時)に入社した後は、おもに同社の会計や財務などの業務を担当。その後、2013年にスクウェア・エニックスおよびスクウェア・エニックス・ホールディングスの代表取締役社長に就任。

サービス開始から20年という、規格外の運営期間

  • 松井

    さて、『FFXI』は多くのプレイヤーの方々に支えられ、このたび運営開始より20年を迎えます。率直な感想としてはいかがですか。

  • 松田

    これだけ浮き沈みの激しいゲーム業界で20年もサービスが続くというのは、驚異的としか言いようがないですね。しかも、『FFXI』はサービス開始直後から参加いただいているお客様が、いまもなおプレイを続けてくださっているというケースが非常に多いのです。

  • 松井

    PlayStation 2版の初期からのプレイヤーはもちろんですが、Windows PC版の発売に合わせてプレイを始められた方の継続率も高いですね。

  • 松田

    “最初に来ていただいたお客様に、現在も楽しんでもらえているかどうか”という考えかたは、オンラインゲームの運営において必須だと考えています。また同時に、日本国内で自社開発の本格的なMMO(多人数同時参加型オンライン)RPGを真っ先に展開できたことの意味の大きさを、改めて感じます。

  • 松井

    仮に、『FFXI』よりも先に家庭用ゲーム機向けの国産MMORPGが登場していたら、熱心なゲーマーにとってのファーストコンタクトは、そのタイトルになっていた可能性がありますよね。つまり、それをずっと遊び続けていたかもしれない。そういった意味でも、あのタイミングでいち早く動き、社内のほとんどのチームを集結させたという判断は慧眼だったなと思います。

  • いち早く展開できたことはもちろん大きいと思いますが、それを20年間支え続けている松井さんたちの努力も、この驚異的な運営期間の要因でしょう。

  • 松井

    思い返すと、14年間続いたPlayStation 2版もかなりの長さですね。2014年には日本国内でPlayStation 4が発売されていたことを考えると、SIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)さんとしては「いつまで続けるの?」という感じだったと思います。

  • 松田

    企業としては、遊んでくださっているお客様がいる以上サポートを行いたいが、そのためのコストも発生し続けるし、ハードのサポートも必要になるので、SIEさん的にも気をもんだ部分ではないでしょうか。これに関しては、PlayStation 2版『FFXI』のライフサイクルがここまで長くなるのは規格外だった、ということでしょうね。

  • これはプレイヤーにとって大いに気になる部分ですが、『FFXI』のWindows PC版のサービスは、現状いつまで続ける予定なのでしょうか。松田社長の考えをお聞かせください。

  • 松田

    先ほども言いましたが、『FFXI』は日本国内におけるMMORPGの先駆者といえる存在です。これに影響を受けた多くのタイトルが登場しており、そういった意味ではMMORPGの老舗・本家という自負もある。そういったプライドも含め、できる限り長く続けたいですね。もちろんビジネスなので、開発費やサーバーなどの費用対効果は常に考えていますが、現在は『FFXI』単体で利益を出せているので、その点もご安心ください。ですから、会社経営者としては、これからもしっかり利益を出して、冒険者の皆さんに楽しみを提供し続けてほしいですね。

  • いまの言葉を受けて、松井さんとしてはいかがですか。

  • 松井

    精一杯、がんばります……!

『FFXI』は日本のオンラインゲームの先駆者

  • 2021年あたりから“メタバース”(※)がバズワード化しています。仮想世界という観点でいうと『FFXI』は最古参のメタバースのひとつでもあります。松田社長としては昨今のメタバースの盛り上がりを見て、いかが思われますか?

    ※メタ(超える、高次の)とユニバース(宇宙、世界)を組み合わせた造語で、オンライン上に構築された仮想世界を指す。
  • 松田

    かつて『FFXI』とともに発表された“プレイオンライン構想”のことを思い出しますね。当時の“プレイオンライン構想”は、振り返ってみると時期尚早だったと感じていますが、あれから20年が経ったいまなら、現実味が感じられます。つまり、それだけ“プレイオンライン構想”が先進的だったということですよね。

  • それでは最後になりますが、現在も『FFXI』をプレイし続けている冒険者の皆さんに対して、松田社長からひと言メッセージをお願いします。

  • 松田

    くり返しになりますが、『FFXI』は私たちにとってはもちろん、日本のオンラインゲームにおける先駆者と言える存在だと思っています。そういったタイトルが20年経っても多くのお客様に受け入れられ、サービスが続けられる状況にあることを誇りに思っています。これからもサービスを続けていきますので、ぜひ、変わらぬ応援をお願いいたします。

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