『ファイナルファンタジーXI』(以下、『FFXI』)とゆかりのある人物をゲストに迎え、プロデューサーと対談を行うスペシャル企画“プロデューサーセッション -WE DISCUSS VANA’DIEL-”。 そのSeason2では、藤戸プロデューサーと『FFXI』中期~後期の開発スタッフとの対談により、各拡張データディスクや追加シナリオの制作エピソードをうかがっていく。
第5回のテーマは、拡張データディスク第4弾『アルタナの神兵』。プロデューサーセッションSeason2 第2回(『アトルガンの秘宝』編)から引き続き、当時のディレクター・小川公一さんと、バトルコンテンツ担当・伊藤泉貴さん、アイテムや装備群の作成を担当していた林洋介さんに、『アルタナの神兵』の開発当時のエピソードを語っていただいた。
2007年11月22日にリリースされた『FFXI』の拡張データディスク第4弾。物語の舞台は、ストーリー上の現在(天晶暦884年)からさかのぼること20年前、水晶大戦(クリスタル戦争)中のヴァナ・ディール。冒険者は、禁断の口に吸い込まれた先で出会ったケット・シーから依頼され、現代と過去を行き来しながら“白き未来”を守るために奔走する。物語のヒロインであるリリゼットは、冒険者と同様に現代と過去を行き来できる力を持っているほか、過去の世界においてはマヤコフ舞踏団のトップスターとして活躍している。また、新たな主要NPCとして、マヤコフ舞踏団の団長マヤコフや団員のポーシャ、サンドリアの鉄鷹騎士隊の隊長ラジュリーズなどが登場した。
『アルタナの神兵』の物語はミッションだけでなく、過去世界の3国の連続クエストとしても展開。こちらでは、少年時代のエグセニミルやラーアル、アジドマルジド、若かりしころのザイドやフォルカー、『FFXI』に唯一登場する男性のミスラであるレコ・ハボッカ、黒い包帯で顔を覆うウィンダス大魔元帥のロベルアクベルなど、多くのNPCが物語に関わることとなる。
過去世界で訪れるエリアは、“現在の街やフィールドの20年前”となる南サンドリア〔S〕やバタリア丘陵〔S〕などが中心だが、ブンカール浦〔S〕、グロウベルグ〔S〕、カルゴナルゴ砦〔S〕といった、現代にはないエリアも追加されている(〔S〕は“影の統治”を意味するShadowreignの頭文字)。
バトル面では、新たなエキストラジョブとして踊り子と学者の2ジョブが追加。『アルタナの神兵』で核となっていたのは、過去世界での戦線におけるバトルや、それを支援するための作戦といった、さまざまな要素を含む複合コンテンツ・カンパニエ。各地で獣人血盟軍とアルタナ連合軍の大規模な攻防が行われるカンパニエバトルや、戦争にまつわる小規模な作戦を行うカンパニエopsなどがその中で展開した。
ほかには、目的や好みに応じたカスタマイズが可能なダンジョン・モブリンズメイズモンガー、多数の冒険者でバトルフィールド内のNMの討伐を目指すウォークオブエコーズなどが追加。また、誰かひとりのレベルを基準に、パーティメンバー全員のレベルを揃えられるレベルシンクの機能も、このころに導入された。
『プロマシアの呪縛』まではマッププランナーを担当。その後、拡張データディスク『アトルガンの秘宝』から『アルタナの神兵』まで、『FFXI』の3代目ディレクターを務める。『FFXI』チームから離れた後は、『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』のチーフプランナーなどを担当。
『アルタナの神兵』では、バトルプランナーとしてカンパニエを中心としたバトルコンテンツをメインに担当。その後2010年に、4代目ディレクターの松井聡彦から引き継ぐ形で『FFXI』の5代目ディレクターに就任し、『ヴァナ・ディールの星唄』までのディレクションを手掛ける。
『アルタナの神兵』では、伊藤氏のチームでカンパニエバトルに登場するゲストのシステムや、モブリンズメイズモンガーなどのバトルコンテンツを手掛ける。現在は『ファイナルファンタジーXIV』のリードアイテムデザイナーを務めている。
試行錯誤と苦労の連続だったカンパニエの開発
今回は、拡張ディスク第4弾『アルタナの神兵』の開発当時について、お話をうかがっていこうと思います。まず藤戸さんを含めて、『アルタナの神兵』の開発当時に担当されていたお仕事の内容を教えてください。
- 藤戸
チーム入りしたころから継続する形で、システムまわりの作業を担当していました。ほかには、カンパニエの“意見具申(※)”のシステムを作るお手伝いをしていたと思います。あとは以前と同様、釣り関連の担当もしていましたね。
※『アルタナの神兵』で追加されたコンテンツ“カンパニエ”関連のシステム。所属している国のカンパニエの方針に対してプレイヤーが意見できる、国民投票のようなもの。 小川さんのディレクターとしての当時のお仕事はいかがでしょう?
- 小川
『アトルガンの秘宝』が終わって、つぎの拡張ディスクはどんな世界にするか、まずはメインテーマやマップなどについて考えていました。
やはり『アルタナの神兵』でもマップを先行して作っていたのですか?
- 小川
ほとんどの拡張データディスクの開発手順ではそうですね。マップ先行で作業をしています。
伊藤さんはすでにコンテンツ制作に着手されていたころでしょうか。
- 伊藤
そのころは『アルタナの神兵』でメインコンテンツになる、カンパニエのシステム作りを中心に作業をしていました。カンパニエはいろいろなコンテンツが紐づいた複雑なシステムですので、そこに関係するものはすべて手掛けていたと思います。
カンパニエはまさに『アルタナの神兵』の要でしたからね。
- 伊藤
ちなみに、カンパニエバトルではビシージの拡張版のような形でエリアを横断してのデータのやり取りをしていたのですが、「実機チェック中に“24番出撃です”というデバッグメッセージを見たんですけど……」というような報告が開発の終盤まであり、「なにっ!? システムを完全に制御できていない?」と冷や汗をかきました(苦笑)。
- 林
自分の記憶する限り、もっともデバッグ作業がたいへんだったのがカンパニエでした。
- 伊藤
ですから「『アルタナの神兵』は本当に発売日にオープンできるのか?」と危機感を抱いていました。自分もそうでしたし、小川さんもそうだったのではないでしょうか。結果的には無事リリースできましたが、いま振り返ると本当に短期間でよくがんばったと思います。
林さんはそのころ、どのようなお仕事をされていましたか?
- 林
自分は『アルタナの神兵』がリリースされた後、3回目くらいのバージョンアップで『FFXI』チームを離れているので、じつは『アルタナの神兵』に関わった期間は短いのです。その中で言うと、カンパニエの“ゲスト”(※)の仕組みは自分が作りました。内部的には“伝達が来たら指令を受け取ってゲストが出撃する”という流れなのですが、それがなかなかうまくいかなくて、「設定したゲストが出てこない……」などと悩みながら作業していました。
※『アルタナの神兵』で追加されたカンパニエの要素のひとつ。アルタナ連合軍に所属していない特定のNPCをスカウトすることで、そのNPCがカンパニエバトルにゲストとして参戦し、共闘してくれる。
- 伊藤
カンパニエはシステムがいろいろと複雑なぶん、うまく動かなかったり試行錯誤をくり返したりと、とてもたいへんでしたね。
- 藤戸
そのシステムの中には、関係するエリアのデータを送受信する場所があるのですが、カンパニエはものすごく膨大な情報量があったので、そこで想定していないラグが出たりするんです。そのデータの管理をすべて伊藤さんが担当していたので……。
話を聞いているだけでもたいへんそうです……。
- 藤戸
どこで何を指示しているのか、どの軍団がどこに行くのかということもデータのログを見ればわかるようになっているのですが、ちょっと数字が違っているとうまくいかないので、みんな目を凝らしてログを見つめていました。本当に、よく作りきったよね……。
- 伊藤
ええ、壮絶で過酷な戦いでした。最終的にはログの数字を見るだけで「(戦況が)見える! 見えるぞ!」という感じになっていましたね(笑)。
- 林
そういったこともあったので、ゲストの仕組みを作る際も、自分が書いたスクリプト(※)が間違えているのか、根本のシステムが間違えているのかわからなくて……。
※『FFXI』専用に開発された簡易的なプログラム言語のこと。 - 伊藤
ゲストと言えば、誰を登場させるかのアイデアも林さんがたくさん出してくれたんだよね。
- 林
20年前のマートや、現代にはいない20年前の将軍、クリルラのお父さん(ライニマード)などは自分がピックアップしました。
- 伊藤
「ウィンダスの十二宮戦士(※)は入れたい」という話もしていたよね。
※ウィンダス連邦軍の主力となる戦闘魔導師団の各団長のこと。団の特徴として、それぞれ白羊・金牛・双子・巨蟹・獅子・乙女・天秤・天蠍・人馬・磨羯・宝瓶・双魚といった黄道十二宮(または黄道十二星座)の名が冠されている。 - 林
本当は全員出す予定でしたが……自分が『FFXI』チームを離れた後はどうなりましたか?
- 伊藤
カンパニエバトル以外ではクエストでのみ登場するキャラクターもいますが、残念ながら全員は出せませんでしたね。
“クリスタル戦争の時代”を表現するために
『アルタナの神兵』のコンセプトである“クリスタル戦争時代を描く”というのは、どのような流れで決まったのですか?
- 小川
当時の『FFXI』チームの内情として、「拡張に必要なマップを完全に新規で作るのは難しい」という話をしていました。そしてアイデアを出していく中で、「過去はどうだろう?」という案が出てきたのです。そこでシナリオや世界観が成立できるかどうかを岩尾さん(岩尾賢一氏。『FFXI』の世界設定などを手掛けた元プランナー)やシナリオ担当スタッフに聞いて、大丈夫だろうということだったので「じゃあ過去でいきましょう」と。クリスタル戦争の話はそれまでのストーリーでも出てきていたので、自分としても「その時代はどんな景色だったのか、どんなことが起こったのか」を見たいという気持ちがありました。
現実世界ではないヴァナ・ディールであっても、“過去に行く”というのは突飛なことになるはずで、そのための具体的な設定を考えるのもたいへんだったのでは?
- 小川
自分としては「ファンタジーだから」と楽観的に見ていました(笑)。「アトモスの口の中に入れそうだし、これで過去とつないじゃえばいいんじゃない?」というノリで、そこを設定面などで補ってもらって作った感じでしょうか。とにかく“「過去が見たい」という想いありき”でしたね。
先ほども話題になったカンパニエですが、どのような経緯でリージョン全域を使った大規模なコンテンツを作ることになったのですか? 『アトルガンの秘宝』におけるビシージの延長線上にあるコンテンツとして考えられていたのでしょうか?
- 伊藤
ビシージでかなり苦労したことを考えると、「ビシージの発展系を作りたい」というのが発端ではなかったと思います。ただ、「つぎの拡張の舞台はクリスタル戦争です」と聞いたときに、「ビシージをもっと拡張すれば、クリスタル戦争を表現できますよ」みたいなことを、つい言っちゃった気もします(苦笑)。
アルザビでの戦いを世界全域に拡張する、といった感じでしょうか。
- 伊藤
そうですね。そこから、「その戦いにいろいろな将軍が出てきたら輝くだろう」、「敵にも将軍がいるだろう」、「この時代の闇の王は現役バリバリの強さだろう」、「闇の王の配下に闇の部隊もいるだろう」……という感じでイメージが広がっていきました。また、「過去世界だからエリア自体は既視感のあるものが多くなるかもしれないが、まったく違うコンテンツを各エリアに置くことで新しいものを提供できるだろう」という思惑もありました。
戦場が各リージョン全体に広がりましたからね。
- 伊藤
そこから本格的にカンパニエバトルの開発がスタートするのですが、ビシージを作ったのは自分でしたし、ほかの人には“エリアをまたいでデータを送受信するコンテンツ”のノウハウがあまりなかったので、自分が中心となって進めていくことになりました。最終的に、分担できる部分はほかのプランナーにもお願いして、なんとか作ることができた感じです。ほかの皆さんにはいろいろ無茶振りして申し訳なかったですが、いい経験ができました。
カンパニエバトル以外ですと、カンパニエopsはどのような経緯で作られたのでしょうか?
- 藤戸
カンパニエバトルは世界の各地で戦闘が発生するコンテンツですが、四六時中戦っているわけではないので、短時間しかログインできない人が遊べないというケースも出てきます。そういう状況にならないように、いつでも任意で受領できるコンテンツとして制作した経緯があります。
- 伊藤
カンパニエopsは“戦争に必要な物資や食料を補給する”という役割もあり、カンパニエopsがたくさん行われるほどその国が強くなり、カンパニエバトルが有利になります。具体的には“ひとりの将軍が引き連れている兵士の数が増える”といったことなどですね。ただ、彼らは出撃するときに物資を消費するので、何もしていないとまた兵士の数が減ってしまいます。そこでまたカンパニエopsをこなしてもらう……というようなサイクルを考えて作られていました。
過去3国それぞれに所属するプレイヤーの人数は、カンパニエの情勢には影響しませんでしたか? とりわけ、カンパニエopsの“黒太子討伐”実装以降は、過去サンドリア(鉄羊騎士隊)に所属するプレイヤーが多かった記憶があります。
- 伊藤
どこかの国が手薄になったらそこは攻められてしまいますが、けっきょくは“獣人血盟軍対アルタナ連合軍”の戦いなので、最終的にザルカバード〔S〕にまで獣人血盟軍を追い込むことができれば、どこに所属していようと関係ない、というイメージです。北方エリアはのちのち追加されることになりましたが、その実装前はまだ序盤戦というか、お互いに牽制しているような状態だと考えていました。
過去を知って、現代との違いを楽しんでほしかった
『アルタナの神兵』の物語はメインミッションだけでなく、過去世界の3国を舞台とした連続クエストでも描かれていましたが、ミッションとクエストの両軸でストーリーを紡いでいくという流れはどのようにして決まったのですか?
- 小川
プレイヤーの皆さんには、国への思い入れが強い方も多いと思います。ですから、せっかく過去世界を舞台にするなら、“それぞれの国がどういった道を歩んだのか”ということを体験してもらいたかったので、「過去3国の話は必要だよね」と考えていました。
過去3国の軍団に所属する際は、現代の所属国とは関係なく選択可能でした。これも“思い入れのある国を自由に選べるように”という配慮でしょうか?
- 小川
はい。そこを縛る必要はなく、好きに選んでほしかったのです。
現代の3国と過去3国の違いは、どのように出していこうと思いましたか?
- 小川
“現代のマップが過去の戦時中にはどうなっていたのか”を表現することを重視しました。また、それまでの拡張データディスクのようにすべてを新エリアにすることはできなかったものの、地理的な隙間を埋めるマップを新たに作って現代とは違ったつながりを見せたり、現代で移動が不便だったところをちょっと楽にできるようにしたりといった変化を持たせられれば、と考えていました。
新ジョブについてもお聞かせください。『アルタナの神兵』では踊り子と学者が実装されましたが、この2ジョブはどのように決まったのでしょうか?
- 小川
最初にいくつ発注したかは覚えていないのですが……2ジョブとは限定していなかったと思います。『FFV』などの過去のシリーズを見て、「踊り子がまだある。学者もやってない」といった感じで、新ジョブのネタはまだまだありました。最終的には、作業面での負担などを考えて、なんとか2ジョブを入れてもらった形です。これは権代さん(権代光俊氏。『FFXI』元バトルプランナー)がメインで担当していたかと思います。
- 伊藤
ジョブ名からして「最前線で戦うジョブではなさそう」というイメージがあり、どういう活躍をさせるかという点においてなかなか苦戦しましたが、結果的には学者も踊り子もうまく物語に組み込めましたね。
- 小川
そこはもう、シナリオ担当ががんばってくれたところですね。
- 伊藤
リリゼットを最初に見たときに踊り子ということに驚きましたが、キャラクターデザインのときから踊り子で発注していたのだから、けっこう早い段階でジョブが決まっていたんですよね。
『アルタナの神兵』は、開発者たちにとって母なる女神のような存在
カンパニエ以外のコンテンツで印象に残っているものはありますか?
- 林
MMM(モブリンズメイズモンガー)の制作は分担制で、自分も関わっていました。『プロマシアの呪縛』、『アトルガンの秘宝』、『アルタナの神兵』まで、ずっとアイテムとバトルを作ってきたので、“敵を攻撃してHPを減らす”以外の遊びも作りたかったんです。ですから、宝を探して、敵に見つかると牢屋に飛ばされて……といった“ドロケイ”(※)のようなルールも作りました。モンスターの殲滅などのオーソドックスなお題もありますが、変わったものもひとつ入れてみたいなと。
※ケイドロとも言われる日本の伝統的な遊び。警察(ケイ)と泥棒(ドロ)に分かれて行う鬼ごっこのこと。
- 伊藤
MMMは藤戸さんにもお願いしていましたよね?
- 藤戸
企画は自分も関わっていましたね。最初は“自分で設計できるダンジョン”というコンセプトからスタートしたのですが、「どうやって設計するか」、「設計を反映させるためにどうしたらいいのか」といった問題があり、最終的には“大きなお題(メイズバウチャー)を何種類か決めて、そのお題の中の細かい部分をカスタマイズできる”という形に落とし込みました。メイズバウチャーの種類はみんなにネタ出ししてもらいましたね。
- 林
MMMでは、ひさびさに新規UIも追加されましたよね。
- 伊藤
当時は「PS2版でこれ以上UIを拡張するのは難しいですよ」と言われていたものの、なんとかMMMには新しいUIを用意することができました。新規のUIと言えば、エヴォリス(※)にも当初は独自のUIを使う案があったんです。
※装備品に“エヴォリス”と呼ばれる鉱物を定着させ、パラメータや特別な性能を付与するシステム。『FFVII』におけるマテリアシステムに近い。 - 藤戸
当時はMMMのような独自のUIを使ったアイデアがたくさんありましたね。錬成やエヴォリスもそのうちのひとつでした。
最後に『アルタナの神兵』全体を振り返って、その感想をお聞かせください。
- 林
自分はもともと品質管理部でQA(品質チェック)をしていて、『ジラートの幻影』の途中から開発に拾ってもらい『アルタナの神兵』の途中まで在籍したのですが、QAをしていた時も、プランナーになってからもたくさんのテスターさんにお世話になりました。彼らのおかげで、自分はここまでやってこられたと思っています。そしてそのテスターのひとりだった渡邊伊織くん(『FFXI』現プランナー)が、いまでは『FFXI』の中核メンバーとして大活躍していることを、同じ元品質管理部出身者として誇らしく思います。
- 伊藤
思い返して見れば、『アルタナの神兵』は当時の私にとって限界突破の試練でした。そのために多くの同僚たちを巻き込んで苦労させてしまった時代でもあり、企画のおもしろさによって同僚もプレイヤーも牽引するエンジンであれ、と自身に誓ったきっかけでもありました。多くのことに気付かせてくれた『アルタナの神兵』は、開発者たちにとって母なる女神のような存在です。
- 小川
“冒険者が過去に行ってクリスタル戦争当時の空気感や出来事を体験できる”といった、企画時に思い描いていたこと以上のコンテンツやシナリオが盛り込まれ、横に広がっていく世界とはひと味ちがった拡張ディスクにできたかなと思います。個人的には発売前のPV用コンテを描いたり、編集に立ち会ったりと、普段の仕事とはひと味違う経験もできて新鮮でした。『FFXI』時代を振り返って思うことは、遊んでくださっているユーザーさんの熱をそのまま受け取って、ほぼリアルタイムに反映できる開発スタイルが何と言っても新鮮で刺激的で楽しかったです。これからも『FFXI』をよろしくお願いいたします。