

2002年4月26日、正式サービスに先駆けて「ヴァナ・ディール トリビューン」の連載がスタート。これはヴァナ・ディールの出来事をまとめた“新聞”として『FFXI』公式サイトに掲載されていた記事で、世界観を補完する読み物や冒険者たちの活動記録がとりあげられていた。創刊号であるVol.00では、βテストにおいて不具合報告の形で貢献したプレイヤーたちが“過去の石版に刻まれた名前”の形で紹介されている。
みんなのヴァナ・ディール史
2002年6月頃
関係者秘話当時ギルを極力持たせない方針で、シャル貝の売却価格に代表される「システムからのギル流出」は厳しく制限していました。この制限は競売とバザーというユーザー間取引の信用担保をとるためですが、ゲームスタート間もないこともあり、ギルの価値が高すぎてわずかでも効率がいいと人が殺到する状況がミスリルマラソンを生んだのかなと思います。ちょうどミスリルの砂粒などの仕組みを自分が実装したのですが、図らずもパルブロ鉱山がヴァナ・ディールの歴史として正しく機能した瞬間でした。これをきっかけに、採掘・伐採・採集がのちに実装されることになります。(ディレクター・藤戸洋司)
2002年6月頃
関係者秘話学生時代経済学をとってなかったので、新たにミクロとマクロの本を読んで勉強しました。ですが付け焼刃ではあまり役に立たなかったです。想定したジョブレベルとプレイ時間あたりのギル取得量と各レベルにかかる時間をベースに破綻のないよう設計したつもりだったのですが……。あまりに多くの要素が影響するゲームのため、終盤に行った大きな調整や追加された要素の影響まで吸収しきれなかったです。シャル貝も期待値的に問題にしなくてもよい値だったのですが、システムからのギル排出を絞ったことで冒険者の目が集中しましたね。経済的な理由というよりは、取り合いなどコミュニティに対する悪影響の方が問題だったのかと思います。(プロデューサー・松井聡彦)
2002年7月2日
ヴァナ・ディールの出来事2002年7月2日のバージョンアップで、自分よりレベルの高いモンスターに対する攻撃の命中率が下がり、かつ魔法のレジスト率が大きくなった。同時に敵対心も調整され、“戦士がプロテアでターゲットをとる”などの戦術は使えなくなり、「挑発」でもすぐに敵対心が下がるようになっている。その結果ケアルをかけたことで白魔道士が敵対心を大きく稼ぎ、「挑発」をしてもターゲットを取り返せず戦闘不能になる事態が発生。それらに対するプレイヤーの反応を受け、1週間後の7月9日には命中率修正などが緩和。格上のモンスターに対してはダメージ値修正に切り替えられた。
2002年9月12日
関係者秘話当初のオーダーは、Lv50まで3カ月。私は当初、一般ユーザーさんで週14時間プレイ、ハードユーザーさんで週40時間と想定して取得経験値等の計算をしていました。実際プレイヤーさんはもっと長く、あるいは効率よく経験値を稼いだのでしょう。うすうすそうなるとは感じていましたが、想定プレイ時間を大きく設定しすぎると、一般のプレイヤーさんがついてこれなくなると恐れていました。エキストラジョブが解禁されたとき、手慣れたユーザーさんは1カ月もかけずにナイトや暗黒騎士をレベルマックスにしていて、これについてもう少しなんとかしろと叱られました。(プロデューサー・松井聡彦)
2002年11月7日
関係者秘話
これまでPS2HDDを入手できなかった人にとっては待望のクライアント登場となりました。自身もここからWindows版にメイン機材を変更してプレイした覚えがあります。
そして予想していたことですが、やはりツールなどを使用してのチートが増えました。明らかにクローズドなマシンであったPS2とは違い、ユーザーが自分好みで自作できるマシンでしたし、Windowsの仕様上、パケット解析やメモリ配置なども技量があれば見られるということもあり、さまざまなリソースがバージョンアップのたびに解析されていきました。
しかしこのようなデメリットさえも飲み込めるほど、冒険者の数は大幅に増えるきっかけになったと思います。(ディレクター・藤戸洋司)
2002年12月19日
冒険者の歴史2002年12月19日、ジュノのバザーに関税がかけられるようになった。これはジュノの過密問題の要因の1つであった“バザーを出品したまま離席・放置されたキャラクター(通称:寝バザー)”に対処するためのもので、とくに人数の多いル・ルデの庭とジュノ下層には10%の高い関税が課せられた。その結果、これまでジュノの各エリアに多かった寝バザーは、バタリア丘陵やロランベリー耕地といった近郊フィールドに移動。なおワールドによって、どのエリアが“バザー街”になったかはまったく異なり、ワールドごとの文化の違いを体現していた要素のひとつと言える。
2002年冬以降
冒険者の歴史2002年冬以降、レベル40からの幅広いレベル帯の狩り場として、クロウラーの巣が認知されはじめる。以前はスケルトン族に人気が集中しがちだったが、11月26日以降に核熱以外の連携が注目されるようになってからは、このエリアのヴァーミン類が人気の獲物となっていった。ただしクロウラーの巣はリンクするモンスターが多く生息しているため、釣り役はかなり気を遣うことに。また、逃げる冒険者を追いかけた高レベルモンスターが入口付近に集まって大混乱になるケースも発生。この問題は2005年12月13日、生息域を離れたモンスターが消失するようになって解消された。